関節症の改善に有効な幹細胞治療とは?仕組みや効果を解説

公開日 2024.08.21 更新日 2025.06.25

関節症は、全世界に多くの罹患者がいる非常に身近な疾患ですが、従来の医療では根本的な治療が叶わないことも知られています。
その関節症を効果的に治療できる可能性があると、近年注目を集めているのが幹細胞治療です。

 

今回は、関節症の概要とあわせて、幹細胞治療の仕組みと期待できる効果を解説します。

 

関節症とは

関節症とは、その名の通り、関節にて発生する炎症や痛み、腫れなどの症状のことです。
具体的な症状は、以下の通りです。

 

関節症の症状の一例

  • 運動中、あるいは運動後の痛み
  • 圧力をかけた際の傷み
  • 関節の硬直
  • 関節周辺部分の腫れ

 

通常、関節のあいだには軟骨が存在しており、関節が動く際にはこれがクッションとなって衝撃を吸収しています。
しかし、軟骨が何らかの外的要因によって擦り減る、あるいは失われると、関節が滑らかに動かなくなり、炎症や痛みが引き起こされます。
これが、関節症の発生する仕組みです。
なお、一般に関節症とよばれるものは、そのほとんどが変形性関節症を指します。
本記事でも、基本的には変形性関節症について言及いたしますので、その点のみご了承ください。

 

関節症の原因

関節症の主な原因の一つとして考えられているのが、加齢です。
関節の軟骨は、歳を重ねるとともに徐々に擦り減っていくため、必然的に高齢の方のほうが、関節症を発症する可能性が高いのです。
実際、関節症患者の約73%以上が55歳以上であるとの報告が上がっています。*1

 

では、若い方が関節症にならないのかといえば、それは誤りです。
スポーツや重労働などで関節に強い負荷がかかり、軟骨が損傷すれば、同じように関節症を発症します。

 

ほかにも、運動不足による筋肉の衰えや、肥満による負担の増加なども関節症の原因として挙げられるうえに、これらの要因が重なる場合もあります。
このように、関節症の原因にはさまざまな要因があるので「自分は大丈夫」と油断せず、思いあたる節があれば、早めに対処することが肝心です。

*1出典:World Health Organization:Osteoarthritis

関節炎との違い

関節症と同じ意味合いの用語として、関節炎が用いられる場合もありますが、この二つは同じ意味ではないため、混同しないように注意しましょう。
関節炎は、関節に炎症を引き起こす複数の種類の疾患を包括する用語であり、そのうちの一つが関節症なのです。

Osteoarthritis (OA) is the most common form of arthritis in the world.

引用元:National Library of Medicine – Osteoarthritis

 

関節炎に含まれる代表的な疾患としては、ほかに関節リウマチが挙げられます。

 

関節症を治療できる可能性のある幹細胞治療

これまで、関節症の治療方法としては、炎症を抑える保存療法、人工関節への置換を行う手術療法などが用いられてきました。
これらの治療法でも、痛みや腫れの改善は叶います。
しかし、関節症の根本的な原因を解消しているわけではないので、軟骨が擦り減るのを止めることはできず、症状が再発する可能性も残されてしまいます。

 

そこで近年、世界各地のクリニックが導入しはじめているのが、幹細胞治療です。
幹細胞治療には擦り減った軟骨を再生できる可能性があり、関節症の根本的な治療が叶うかもしれないのです。

 

では、幹細胞治療は、関節症の治療にどのように効果をもたらすのでしょうか?
その疑問を解消するためにも、まずは幹細胞治療の概要について把握していきましょう。

 

幹細胞治療とは

幹細胞治療とは、幹細胞とよばれる細胞を、体の問題のある箇所に投与し改善を試みる治療法です。

 

幹細胞は、人間の体内にもとから存在するものであり、生命活動に欠かせない2つの能力を有しています。
一つが、皮膚や軟骨、神経など、体を構成するさまざまな組織のもととなる細胞に、分化する能力です。
体内の細胞は日々入れ替わりつづけており、その最中で新しい細胞が必要になった際に、幹細胞が分化します。

 

幹細胞のもう一つの能力が、自己複製です。
自分自身と同じ能力をもつ細胞を作ることができる能力であり、これによって幹細胞はその数を増やしています。

 

幹細胞治療においては、特に一つ目の分化能力に注目が集まっています。
別の細胞へと分化する能力を利用することで、損傷した部分を再生できる可能性があると期待されているのです。

 

関節症における幹細胞治療のメリット

特に関節症においては、幹細胞治療を適用することで主に3つのメリットを得ることができます。
まず挙げられるのが、関節症の症状に対する根本的な治療が期待できるという点です。

 

幹細胞治療なら、関節症の根本的な原因である擦り減った軟骨を再生できる可能性があるため、長期的に痛みや炎症を改善できる見込みがあります。

 

治療に際して、体に大きな負担がかからない可能性が高いというのも、大きなメリットです。
幹細胞は、基本的に注射や点滴などで患部に投与するため、大がかりな手術や入院が必要になることはありません。
体への負担は軽く、本来の体を維持したまま治療できるのも利点です。

 

また、患者さまご自身の体から採取した幹細胞を用いる場合、アレルギー反応や拒絶反応の起こる可能性が低い、というメリットも存在します。*2

 

多くのクリニックでは、患者さまの体、主に皮下脂肪から組織を採取し、それをもとに幹細胞を培養し治療に用いるという手法がとられています。
この手法では、自身の体内にあったものが注入されるので、拒否反応などのリスクが少ないと考えられているのです。

*2出典:Comparative Clinical Outcomes After Intra-articular Injection With Adipose-Derived Cultured Stem Cells or Noncultured Stromal Vascular Fraction for the Treatment of Knee Osteoarthritis – Naomasa Yokota, Mari Hattori, Tadahiko Ohtsuru, Masaki Otsuji, Stephen Lyman, Kazunori Shimomura, Norimasa Nakamura

幹細胞が関節症治療へ作用する仕組みと効果

軟骨が損傷している関節へ幹細胞を投与することで、分化能力により、損傷箇所を再生できる可能性があります。
また、幹細胞には抗炎症作用がある可能性も示されており、患部の再生のみならず、炎症や痛みの軽減も期待できるのです。*3
関節症の根本的な治療と、症状の緩和が同時に行える可能性があるのは、幹細胞治療だからこその利点です。
関節症に対する幹細胞治療の効果については、多くの医療機関が研究を行っています。
ドイツの、ザールラント大学医療センターの医師であるPatrick Orthらの報告では「幹細胞は膝軟骨の修復に有望である」との言及があります。

Stem cell implantation is a promising approach for cartilage repair in the knee and is already in clinical use for focal defects and generalized osteoarthritis.

引用元:Current perspectives in stem cell research for knee cartilage repair – Orth P, Rey-Rico A, Venkatesan JK, Madry H, Cucchiarini M.

世界中で行われている臨床実験や研究を通じて、幹細胞治療の有用性が証明されつつあるわけです。

*3 出典:Clinical results and second-look arthroscopic findings after treatment with adipose-derived stem cells for knee osteoarthritis – Koh YG, Choi YJ, Kwon SK, Kim YS, Yeo JE

医療法人社団紘朗会 再生医療部門での治療の流れ

医療法人社団紘朗会 再生医療部門は、特定認定再生医療等委員会という、厚生労働省から認可を受けた組織から許可を得て、幹細胞治療を実施しております。*4

 

実際の治療の流れは、以下の通りです。

 

医療法人社団紘朗会 再生医療部門での幹細胞治療の流れ

  1. カウンセリング
  2. 事前血液検査
  3. 脂肪の採取
  4. 幹細胞の培養
  5. 幹細胞の投与
  6. アフターフォロー

当院ではまずカウンセリングを行い、患者さまのご要望の確認、およびお体の状態の診断を実施いたします。
また、幹細胞治療の目的や、治療内容などについてもご説明させていただきますので、ご不明な点や不安な点があれば、ぜひご相談ください。

 

カウンセリングののち、患者さまに幹細胞治療の実施に同意いただけましたら、採決と血液検査を行います。
血液検査では、主に感染症への罹患の有無を確認いたします。

 

血液検査にて問題が発見されなければ、次は脂肪の採取です。
傷あとが目立たないよう小さく切開し、皮下脂肪から少量の脂肪組織を採取いたします。
なお、患者さまの体調が優れない場合は、脂肪の採取を延期する場合もございます。
前日は十分に睡眠をとり、飲酒は控えていただけると幸いです。

 

採取された脂肪は当院の細胞培養加工施設に送付され、幹細胞の培養に用いられます。

 

そして、十分な量の幹細胞を培養できたら、いよいよ投与の実施です。
患者さまの当日の健康状態に問題がなければ、治療の内容を再度ご確認いただいたうえで、点滴注射にて幹細胞を投与していきます。
所要時間は長くとも1時間半ほどですので、投与後の経過観察で問題がない限りは、入院の必要はございません。

 

施術後は1か月・3か月・6か月のスパンで検査を行い、お体の状態を確認いたします。
症状の改善状況や日常生活への影響なども確認したうえで、その後の治療方針を定めてまいります。

*4 出典:厚生労働省 e-再生医療

 

幹細胞治療には関節症を効果的に改善できる可能性がある

本記事では、関節症の概要と、幹細胞治療の仕組みやもたらす効果を解説いたしました。

 

軟骨の損傷によって引き起こされる関節症は、世界中に数多くの罹患者がいるだけではなく、従来の医療では根本的な治療が望めない疾患としても知られています。
しかし、幹細胞治療であれば損傷した軟骨を再生できる可能性があるため、関節症を効果的に治療できるかもしれないのです。

 

また、幹細胞治療では通常、患者さま自身から採取した幹細胞を使用するため、外科手術などの侵襲が少なく、リカバリーが比較的早いとされています。
患者さま自身から採取しているという性質上、各患者さまに適した治療法が提供される手法であるともいえます。

 

「従来の治療法では改善が難しいと診断された」「より効果的に関節症を治療したい」
そのようにお考えの方にとって、幹細胞治療は最適な選択肢の一つとなりえるでしょう。

 

幹細胞治療にご興味のある方は、医療法人社団紘朗会 再生医療部門までご相談ください。
当院では、幹細胞治療と、生物学的同一ホルモン補充療法やペプチド療法を組み合わせた治療を提供しています。
治療の詳細や費用など、気になることをすべてご説明いたしますので、まずは無料カウンセリングにお越しください。

 


①治療方法
ご自身の脂肪組織に含まれている幹細胞を取り出し、培養した上で、患部に局所注射又は点滴にて注入する治療法です。
②副作用リスク
脂肪採取時:内出血、腫脹、術後感染、術後瘢痕、注射部位の痛みなどを伴う可能性。
幹細胞投与時:注射部位の痛み、アレルギー反応、肺塞栓などを伴う可能性。
③連絡先
医療法人社団紘朗会 再生医療部門
東京都港区南麻布4丁目14-6 プレシャス18 5階
TEL:03-6277-4650
④費用
本治療は保険適用のない自由診療となります。税込み165万円程度(診断により変動する可能性があります)。
詳細はご相談ください。
⑤入手経路
幹細胞は提携CPCにて培養いたします。
⑥効能に関する国内の承認機器・薬剤の有無
効能に関する国内の承認薬剤はありません。
⑦安全性に関する諸外国の情報
安全性に関する諸外国の報告はありません。
※重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。
⑧未承認である旨
この治療で使用される薬剤は医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認薬です。
⑨未承認薬・機器
未承認薬・機器には、公的救済制度(医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度)の適用はありません。