再生医療のメリットは?体性幹・ES・iPS細胞についても解説!
全身のエイジングケア、健康増進や再生美容への効果が期待され、飛躍的な成長を続けている再生医療ですが、そもそも、再生医療とは何かご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。 今回は、再生医療の概要やメリット、再生医療のなかでも特に注目されている体性幹細胞、ES細胞、iPS細胞の3つの幹細胞についても解説します。 「再生医療のメリットを知りたい」「ほかの治療と何が違うのか気になる」という方は、ぜひ最後までご覧ください。 再生医療とは? 再生医療は、薬を使わずに患者さまご自身の細胞の力で怪我や病気の治療を目指すアプローチです。 細胞の力を身近にイメージできる例として、トカゲのしっぽが挙げられます。 トカゲのしっぽは、切り離されても、しばらくすると新しいしっぽが生えて元に戻ります。 これは、トカゲの細胞に再生能力が備わっているためです。 実は、人間の細胞にもこの再生能力があると言われています。 現在、怪我や病気に対しては、義足やペースメーカーなどの人工的な機器、薬をはじめとする化合物による治療が行われるのが一般的です。 それに対して、人工物に頼らず、人間に備わっている再生能力を活かして、怪我や病気、加齢により失われた細胞の機能の自然治癒を目指すのが、再生医療です。 再生医療で注目されている3種類の幹細胞 再生医療になくてはならないのが、人間が持っている「幹細胞」です。 人間の身体を構成する、60兆個もの細胞は、それぞれが十分な役割を果たせるように寿命があり、日々誕生と死滅を繰り返しながら、生体を維持しています。 消滅した細胞の代わりとなる、新たな細胞を生み出す補充の役割となるのが幹細胞というわけです。 そんな幹細胞は、分化能と自己複製能を合わせ持っています。 分化能とは、自分とは異なる、さまざまな細胞に変化できる能力であり、自己複製能は、分裂や増殖過程を経ても、同じ特性を維持して複製する能力です。 また、幹細胞は、「体性幹細胞」と「多能性幹細胞」に分かれます。 多能性幹細胞は、「ES細胞」「iPS細胞」などの種類があります。 ここからは、幹細胞を活かした再生医療のなかでも、特に注目されている体性幹細胞と、ES細胞、iPS細胞の3つの細胞について解説します。 体性幹細胞 体性幹細胞は、もともと人間の体の中に存在している細胞です。 医療への応用が進んでおり、1970年代から多くの怪我や病気の治療で使用されてきました。 体性幹細胞には、間葉系幹細胞や神経幹細胞、造血幹細胞など、さまざまな種類が存在します。 なかでも、体性幹細胞の代表例は、「間葉系幹細胞」です。 種類に限りがあるものの、骨、軟骨、脂肪、神経、幹細胞など、多様な細胞に分化できるといわれています。 骨髄や脂肪から採取できる間葉系幹細胞は、拒絶反応が少ない可能性があり、安全性が比較的高いと考えられています。 医療法人社団紘朗会 再生医療部門は、厚生労働省から認められた医療機関として、幹細胞を用いた再生医療を提供しております。*1 幹細胞治療にご興味のある方は、当院までご相談ください。 医療法人社団紘朗会 再生医療部門ではエビデンスに基づいた治療を厳選し、包括的な新しい治療方針で一人ひとりのお悩みに合わせた再生医療をご提供いたします。最良の結果を最適化するために、生物学的同一ホルモン補充療法やペプチド療法などの内服療法と幹細胞療法を組み合わせて使用いたします。 *1 出典:厚生労働省 ES細胞 受精卵は胎児になるまでの過程で「胚」になりますが、その胚の中にある細胞を取り出して培養・作製されるのがES細胞(Embryonic Stem Cell)です。 治療においては、不妊治療を受けられている方の同意を得て取り出した、不用な胚を使用します。 ES細胞は、前述した体性幹細胞とは異なり、1個の細胞から多様な組織や臓器に分化できる、万能な多能性幹細胞です。 ES細胞は発生初期の胚の細胞からつくられるため、受精卵に非常に近い能力を持っていて、私たちのからだを構成するあらゆる細胞へと変わることができます。また、ES細胞は、適切な環境さえ整えれば半永久的に維持することができるといわれています。この維持培地から、神経や血液などを培養する条件に近い環境へ移すと、その環境に応じてさまざまな細胞に分化していくこともわかりました。*2 しかし、他人の胚を使用するために拒絶反応を起こす可能性があり、胎児に成りえる胚を使用するため、日本では再生医療に実用化されていないのが現状です。*3 ES細胞を用いた治療を実用化している国もありますが、日本では「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」*4に基づき、ES細胞の使用は容認されていません。 そのため、現在は厚生労働省にて定められた治験のみでの研究を重ねています。 *2,*3 出典:再生医療ポータル(再生医療学会の運営サイト) *4 出典:再生医療等の安全性の確保等に関する法律(公布年月日:平成25年11月27日) iPS細胞 iPS細胞は、皮膚などから取り出した細胞に遺伝子を組み込むことで、体中の臓器や組織に成長できる細胞です。 ES細胞と同じく多能性幹細胞ですが、皮膚や血液など採取しやすい体液から作れる点、拒否反応のリスクが低い点が評価されています。 くわえて、大人の細胞を生まれたばかりの細胞へ逆分化させる機能があると考えられています。 胚からしか採取できないES細胞とは異なり、採取できる範囲が広いので、安定した数の細胞を、患者さまご自身の体から供給することが可能です。 ですが、細胞に成長しきれない未分化の細胞が残ってしまうことで、がん化のリスクがあるとも指摘をされています。*5 現在の研究ではまだ実用化されていないものの、日本は、iPS細胞の論文数世界2位*6、特許数も世界2位*7の実績を誇ります。 多くのiPS細胞製品について日本で臨床研究が行われていることから、近い将来、日本が世界に先駆けて実用化を推進する可能性があると考えられています。 *5 出典:科学技術振興機構 (がん化しないiPS細胞作製に成功 安全な再生医療応用に期待) *6 出典:2021.3.5 第1回再生・細胞医療・遺伝子治療研究の在り方に係る検討会資料3 P.5(幹細胞研究の高IFの論文数をカウント) *7 出典:2021.3.5 第1回再生・細胞医療・遺伝子治療研究の在り方に係る検討会資料3 P.24(PCTに基づく特許出願をカウント) 幹細胞を用いた再生医療のメリット 研究が進み、新たな結果が発表されるたびに、これまでは想像できなかった、幹細胞を用いた再生医療のメリットが徐々に明らかにされつつあります。 幹細胞による再生医療は、脳梗塞や糖尿病、新型コロナウイルス感染症による後遺症などの治療に役立てる可能性を秘めています。 また、再生美容やエイジングケアにおいては全身の幹細胞の数を増やすことで、老化の改善や予防が期待されており、これは一つのメリットといえるでしょう。 ここからは、幹細胞を使った再生医療のメリット4点をさらに詳しくご紹介します。 メリット①これまでの治療法と異なるアプローチができる 幹細胞を用いた再生医療では、治療が困難とされていた心疾患や神経疾患に対して、アプローチできるというメリットがあります。 これは、先述したように、幹細胞が分化能と自己複製能とよばれる2つの能力を有しているためです。 損傷した組織の細胞に分化し、自己複製能によって新たな細胞を増殖しつづけることで、組織の再生を促します。 また、幹細胞には、体内の損傷した組織に働きかけ、修復していく「ホーミング」という機能や、体内の炎症や痛みを抑えて最適化に寄与する「パラクリン作用」も有しています。 メリット②患者さまへの負担が少ない...
2024.05.24